2021年1月15日金曜日

   -チェスタートン -

 ウイルスはすでに数十億年前から、様々な宿主の生物とともに生きていた生命体である。人間も、太陽の光を浴び、自然の中で生き、大気を出し入れし、食糧を摂取して、我々の「生」は常に自然環境や動植物、さらにはウイルスや細菌などの微生物とのバランスの中で維持され、気候・環境変化・自然災害、さらに感染症のパンデミックなど・・「生」は常に危機にさらされている。人間は、自らの生命を守ろうと自然に潜むエネルギーを取り出して経済を成長させてきた。しかし どうやら「生命」の根源にたち戻れば、いくら壮大な近代文明を構築しようとも、人間もウイルスも、この宇宙的な空間において生み出された共存する生命体に過ぎないということ。

近代社会は、人間の自然に対する支配権を当然とみなし、そこから引き出されるエネルギーによる幸福実現という進歩の観念に取りつかれてきた。だが、われわれは、この観念の破綻に気づかされた。人知、人力の及ばぬ自然がもつ圧倒的な力、人間の生死を握る不可避で偶然的な何ものかえの随順。それを知ることもまた人間の知恵である。かつては知恵は宗教の形をとり祈った。今日、われわれは神も仏も容易には持ち出せない。だが、改めて不条理「死」を前にすれば、人間はいかにちっぽけでささやかな存在であり、その「生」は何ものにも代ええない無二ものであると自覚する。われわれ自身の「生」の原点を見つけなおすきっかけとして「G・K・チェスタートン」(イギリス・批評家、詩人、随筆家) 風に・・「ひとりのよき友、ひとつの安心できる場所、ひとつの好きな書物、ひとつのよき思い出。それがあればよき生である」 と。        (京大名誉教授 佐伯啓思氏)



        2020年末に NHK BSTVで放映された「国宝」をカメラで撮りました。

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               明けましておめでとうございます。



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